出典:きらぼし銀行
筆者の去年亡くなった父は、生涯地方銀行員でした。仕事から帰ってきた父が、母に向かって仕事の愚痴をこぼしていた姿を見て、厳しい業界なのだろうと幼いながらも感じていたことを覚えています。
東京にあるきらぼし銀行は、八千代銀行・東京都民銀行・新銀行東京の3つの銀行が合併して2018年にできた銀行です。そういえば、父がいた銀行も何度も合併を繰り返して名前を変えていました。銀行の生存戦略として、合併という手段はスタンダードなのでしょう。
筆者は関西に住んでいるのできらぼし銀行という名前は初めてききました。ネーミングが可愛らしくて、実店舗のないネット銀行なのかと思ったくらいです。
どんな銀行なのだろうと興味がありネット検索してみると、関連キーワードに「やばい」というワードが出てきました。
なぜ、きらぼし銀行はやばいと言われるようになってしまったのでしょうか。
東京都内に在住している人以外は、地方銀行の名前は当然知りません。聞いたことのない名前の銀行であることに加えて、お堅いイメージのある銀行に「きらぼし」という可愛らしいネーミングのギャップに対して、「やばい銀行なんじゃないか」という意識が芽生えてしまうのかもしれませんね。
ここからはきらぼし銀行がやばいと言われる理由を深掘りしていきますが、結論から言うと「きらぼし銀行はやばくない」です。
どうしてやばくないと思ったかという理由も含めて、説明していきます。
きらぼし銀行がやばいと言われる理由
① 不祥事
きらぼし銀行は誕生して間もなく、不祥事の報道が相次いだことが有名です。
行員が顧客の普通預金から不正に現金を引き出して3億7500万円の横領が発覚した事件や、また別の行員が妻を殺害して実家に埋めた死体遺棄事件が明らかになったのです。
横領事件に関しては、きらぼし銀行の公式ホームページに不祥事に関する調査結果と再発防止策等についての文書が掲載されており、きらぼし銀行側も事実を認めて再発防止策を公表している面では誠実な対応であると言えます。
死体遺棄事件に関しては、事件を起こした人物が偶然きらぼし銀行に勤めていたということですが、世間的には事件の内容的にも「やばい」と思われても当然です。
銀行という組織は個人や企業のお金を扱うので、信用第一のイメージがあります。信用を失うような事件の発覚は、きらぼし銀行にとってかなりの痛手になったのではないでしょうか。
やばいと言われるようになった大きな要因の1つかもしれませんね。
② 経営状態がやばい?
きらぼし銀行と検索すると、「つぶれる」という関連キーワードも出てきます。
きらぼし銀行の親会社の東京きらぼしファイナンシャルグループの有価証券報告書を見てみると、収益は上がりつづけていることがわかりました。経営状態がやばいわけではなさそうです。
参考:有価証券報告書 |財務情報・IR情報|東京きらぼしフィナンシャルグループ
収益は上がっているにもかかわらず、つぶれるという噂がたってしまうということは、他の不安要素があるのでしょうか。
きらぼし銀行は、3つの銀行が合併して誕生した銀行です。合併は銀行の存続や収益の増加などのメリットが予想されますが、裏を返すと地方銀行単体では経営状態が保てないという状況にあったと考えられます。
合併に至ったという経緯もあり、経営状態に不安を感じている人もいるのかもしれませんが、合併後収益は上がっているということなので、現在のところは安心してもよさそうです。
③ 名前がやばい
きらぼし銀行というネーミングに対して、「ふざけている」「安っぽい」という口コミを見つけました。確かに合併前の銀行名とはかけ離れた可愛らしい名前ですよね。
中にはきらぼし銀行をビジネスで使っていて、東京圏外のきらぼし銀行を知らないお客さんに名前を伝えるときに、恥ずかしいという意見もありました。聞きなれない銀行名に加えて可愛らしい銀行名だと、実在する銀行なのかどうか疑われてしまうのかもしれません。
ちなみにはじめは「こんな可愛い名前の銀行があるのか」驚いていた筆者も、ここまで調べてきて「きらぼし銀行」という名前に慣れてきました。慣れると親しみやすく覚えやすい名前ですよね。
④ 前給サービス
きらぼし銀行は発足当初、前給ができる制度を打ち出して話題になっていました。前給とは、給料日前でも、申請をすれば前回の給料日から働いた日数分のお給料が前借りできるというサービスです。
急なお金が必要な時などに使えると便利なサービスですが、結局給料日に入ってくるお金が減ってしまうので、よく考えて計画的に使わないと生活が逆に苦しくなるかもしれません。
癖になってしまうとやばい制度かもしれませんが、計画的に使えるのであれば便利な制度であるといえます。
現在前給サービスはきらぼし銀行からきらぼしテックという会社に事業譲渡されているようです。
⑤ きらぼし銀行はブラック企業?
きらぼし銀行はブラック企業ではないかという噂もあるようです。
実際に働いている社員の口コミを見てみると、「以前よりも年次休暇が取りやすくなった」という口コミもいくつかあり、年々労働環境は改善されているようです。
きらぼし銀行の平均勤続年数は18.3年ということでした。(2022年3月31日まで)
厚生労働省の調べによる社会人の平均勤続年数は2022年2月までの調査で12.3年という結果が出ているので、きらぼし銀行の離職率は平均より低いことになります。
ブラック企業というわけではなさそうですね。
⑥ キキララ通帳
きらぼし銀行はイメージキャラクターにサンリオのキキララを起用しています。
通帳もキキララになっており、なんとも可愛らしいです。キキララファンにはたまらない通帳も、そうでない人にとっては「可愛いすぎる」「恥ずかしい」と感じてしまうかもしれませんね。
現在はペーパーレスでスマホで見られるウェブ通帳が普及していますから、通帳の選択しも広がっています。
キキララの通帳はちょっと……という人は、紙の通帳は家の保管用にして、普段はウェブ通帳を使うという手段もあります。
⑦ 地方銀行自体がやばい
昔はたくさんあった地方銀行も、現在に至るまで何度も合併を繰り返しているところが少なくありません。地方銀行も生き残るために必死です。
きらぼし銀行のような地方銀行は、地域密着型というメリットはありますが、大手の銀行に比べると圏外に行くと引き出せるATMが少ないなどのデメリットもあります。
転勤や仕事であちこちの地方に出向くことが多い方は、地方銀行の利用は不便に感じることもあるかもしれません。
⑧ 海外企業とつながっている
きらぼし銀行は、中国やタイ、ベトナムなどへの海外進出支援のサービスも展開しています。
幅広いサービス展開が、良い意味で「やばい」と言われているのかもしれません。
⑨ 対応が遅い
きらぼし銀行は2018年にできた比較的新しい銀行です。新しいといっても、3つの銀行の合併によって誕生した銀行ですので、行員も前銀行から引き続き勤務している方ばかりです。
合併により担当者が変わったという口コミも多く、以前の担当者から新しい担当者への引継ぎがうまくいっておらず窓口でかなり待たされた、という口コミもありました。
合併直後は内部でも多少の混乱があったと予想されますが、一時的なものであると考えると、日常的に対応が遅いというわけではなさそうですね。
⑩ 合併に伴った詐欺被害
きらぼし銀行の誕生に伴い、詐欺行為も発生したようです。
きらぼし銀行のホームページでも、合併案内を装った詐欺電話にご注意くださいという注意喚起が掲載されています。
詐欺電話の内容としては、
など個人情報を抜き出す手口だったようです。
きらぼし銀行に限らず、どんな銀行であっても合併時にはこういった詐欺電話が入る可能性がありますので注意が必要ですね。
きらぼし銀行はやばい?まとめ
きらぼし銀行は、元々地方で顧客を持っていた3つの銀行が合併することによって、幅広い事業や独自のサービスなどを展開して収益をあげている活気ある銀行であることがわかりました。
不祥事などもありましたが、事件としては解決しているようですし、現在特にやばいと感じる点は見つかりませんでした。
銀行を選ぶ際は、口コミやネットの情報に惑わされすぎず、自分の生活にあった銀行を選択していきましょう。