『あすか製薬』と入力すると、検索候補に「やばい」と出て来ます。
公式サイトによれば「先端の創薬を通じて、人々の健康と明日の医療に貢献する」という経営理念を掲げ、強みである内科・産婦人科・泌尿器科の3領域に特化、新薬を中心とした事業に取り組んでいる会社、とのことですが真相はいかに?
比較的ホワイト企業が多いと言われる製薬業界ですが、やばい会社も存在しているのでしょうか。
あすか製薬株式会社(以下あすか製薬)がやばいと言われる理由を調査します。
あすか製薬がやばいと言われる理由
①武田薬品工業との関係
あすか製薬の創立は1920年にさかのぼります。
武田薬品を筆頭株主とする「帝国臓器製薬」として、ホルモン剤を中心に新薬の研究開発を行っていました。
2005年10月に武田薬品のグループ会社である「グレラン製薬」と合併し、社名が「あすか製薬」に変更されました。
2021年には武田薬品工業が保有するrelugolix(ゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬)に関し、日本における子宮筋腫の独占的開発権および独占的販売権を取得するライセンル契約を締結するなど、その後の関係も深いです。
②経営が順調
内科、産婦人科、泌尿器科を強みとするあすか製薬は、その強みに特化することで業績を伸ばし続けています。
中でも創業以来の強みである「ホルモン製剤」が好調で、月経困難症の治療を目的とした低用量ピル製剤市場は、2021年3月期の年間700万シートから2023年3月期には1000万シートに拡大し、トップシェアだったバイエル社を抜いて1位(42%)となりました。
月経困難症の認知度が上がり、治療に前向きな人が増えたことも追い風となったのでしょう。今後も成長が期待できます。
③年収水準が高い
有価証券報告書によれば、2023年3月期においてあすか製薬ホールディングス株式会社の平均年収は958万円。
国税庁が開示している日本人の平均年収が461万円であることから、また比較的年収水準が高いと言われる医療メーカーの平均年収565万円と比べてみても十分高いことが分かります。
④残業が少ない
2021年度のデータでは、あすか製薬の平均残業時間は4.1時間となっていますが、これは非常に低い水準です。
同じ年に厚生労働省が行った調査では、一般労働者の平均所定外労働時間は13.2時間との結果からも明かです。
⑤有給が取りやすい
公式サイト上の若手社員57名へのアンケート調査では、実に96.5%が有給を取りやすいと回答しています。
他の設問の回答結果から「職場の雰囲気がアットホーム」「意見を言いやすい」「上司が優しい」「一緒に働く社員は協力し合える」など申請しやすい雰囲気であることが読み取れますが、会社としてワークライフバランスの意識が高まっている、との口コミも見られました。
⑥平均勤続年数が長い
2022年3月期の有価証券報告書によれば、あすか製薬の平均勤続年数は21年とあります。同じ年の厚生労働省の調査データでは、平均勤続年数は12.3年とのことから、非常に長いことが分かります。
⑦希望退職者募集
伝統があり業績も好調、収入も多く環境も整っている、とここまで言うことなしのあすか製薬。どこがやばいのかと首をかしげますが、気がかりな情報があります。
2010年にあすか製薬は希望退職者100名の募集を行いました。これによりやばいイメージが定着してしまった人もいるでしょう。
希望退職者制度と聞くとリストラ、人員整理、経営危機などをイメージしてしまいがちですが、実は企業が希望退職者制度を行うメリットは人件費削減以外にもあるのです。
退職者が発生することで、今まで活躍の場がなかった若手社員がチャンスを獲得し組織の若返り促進につながります。また、若手だけでなく中堅・ベテラン社員においても、退職者の発生に伴い部署や業務の変更が生じることで新しい風が吹き、職場環境が活性化します。
あすか製薬の希望退職者募集も、それらが理由だった可能性はあります。また、その後現在に至るまで、大規模なリストラは行われていません。
⑧帝国臓器(単身赴任)事件
さらにさかのぼると1999年旧社名時代に、転勤をめぐって事件が起きています。
東京営業所から名古屋営業所に転勤を命じられた社員が、妻及び3人の子供と別居せざるを得なくなったことを違法であるとして、転勤命令の無効確認と単身赴任を強いられたことによる損害賠償を求めて訴えを起こしました。
しかし、この訴えが棄却されたことは言うまでもありません。
⑨上場を廃止
やばいと言われるようになった主な経緯として、上場の廃止が考えられます。
ですがこれは何かよからぬ理由があって上場できなくなった、というわけではなく株式移転によるものです。
あすか製薬は上場廃止となった一方で持株会社であるあすか製薬ホールディングス株式会社(2021年4月1日設立)が代わりに上場することとなりました。
⑩未承認薬の存在
あすか製薬の公式サイトによると、あすか製薬の製品については承認されていないものもあるため、医療関係者以外の方が使用することは避けるようにとの記載があります。
未承認薬は保険が適用されない自由診療となってしまうため、患者の経済的負担が大きくなります。ホルモン薬は使い続けなければならない側面があるためなおさらで、承認を望む患者にとってはある意味やばい企業となるのです。
しかしながら諸外国に比べ、日本は承認に非常に時間がかかると言われています。
また、薬が承認されるには治験が行われなければならないのですが、治験に協力する医療機関・臨床医・患者の不足は、あすか製薬だけではなく業界全体の課題となっています。
⑪転職が難しい
上場廃止や未承認薬の存在といった一見やばそうな事柄も、そこに正当な理由や致し方ない実情があるとなると、転職市場で人気が高くなるのは必然と言えるでしょう。
例えばMR職は文系・理系など出身学部を問わず応募でき、あすか製薬としては門戸を開いているのですが、倍率が高い分内定を勝ち取るのは難しくなります。
しっかり対策を立てる必要があり、転職エージェントの活用をすすめる投稿も見られました。転職が難しいことが実はやばいと言われる一番の理由なのです。
⑫公式サイトの記事
あすか製薬は、健康に関する情報発信を積極的に行っています。
公式サイト内に貼られたリンク先に『みんなのホルモン研究所』というサイトがあるのですが「仕事のストレスが【やばい】その原因と対処法」という記事があります。
そこからやばいという言葉が拾われたケースもあるでしょう。
慢性的なストレスに警鐘を鳴らし、定期的なストレスチェックとして「ストレスホルモン量検査キット」の活用をすすめる記事となっています。
⑬女性特有の疾患をタブー視
あすか製薬は産婦人科領域に特化していることから、公式サイトでは避妊や更年期障害についての発信も見られます。
この頃ではテレビでPMS(月経前症候群)が特集されるなど、女性の体についての理解もだいぶ深まりましたが 妊娠・出産にまつわる女性特有の症状をタブー視する風潮は依然として残っており、やばいと言われている可能性があります。
しかしながら男性にはそのつらさを経験出来ない分、あすか製薬のような研究実績のある企業が発信することは非常に重要であると実感しています。知識が広まることで救われる女性もいるからです。今後もぜひ続けてほしいです。
あすか製薬はやばい?まとめ
結論、あすか製薬はいい意味でやばいです。
ネガティブなやばさがあるとすればそれはあすか製薬への転職の難易度。でもそれはあすか製薬が優良企業であることのあかしではないでしょうか。
プライベートが充実することでより仕事への意欲も増し、風通しの良い職場環境からアイデアが生まれ、結果業績アップにつながるといった好循環が生まれています。
「ライフワークバランス」が世の中に浸透しつつありますが、まだまだブラック企業も多いのが現状です。これからも優良企業の見本としてあすか製薬に注目していきたいです。
また女性のウェルビーイングの実現が叫ばれる今、産婦人科領域やホルモン剤に特化したあすか製薬にはますます注目が集まることでしょう。
社会貢献、企業としてのさらなる躍進、両方において期待が高まります。